「やさいとくだもの」が21世紀の日本を救う!
                                     日;平成13年10月14日
                                   主催;静岡県青果商組合連合会東部会

                   講師;香川短期大学 学長 北川博敏
                       元農水省果樹農業振興審議会長
               参考書;「続・果物の商品学」日本果物商組合連合会(岳南青果
                        商協に注文 定価2096円十税
                    「香川版グルメの哲学」美巧社(FAXで0877−49−8255
                      北川に注文送料共1800円
                     ( 参照)は「香川版グルメの哲学頁数)
1.健康的日本食の成立
(1)平均寿命世界一、年をとっても老けないが世界の人の驚異の的
(2)海外で魚、米、大豆金品、海藻を食べる努力(80、96、292頁参照)
(3)昭和30年代の後半から日本は豊かになり動物性食品が多く食べられるようになって、45年頃に  健康的日本食成立(16頁参照)
(4)昭和40年の科学技術庁によるコ−ルド・チエン答申に始まる減塩運動も寄与(46頁参照)

       主要食物の一人当り年間供給量の変化(粗食料、s)
小麦 豆類 肉類 牛乳他 油脂 鶏卵 魚介類 野菜 果実 海藻
昭和35年 126 34 34 11 7 22 5 7 47 114 30 0.6
   45年 105 18 40 11 18 50 10 17 61 132 53 0.9
   55年 87 19 41 9 31 65 15 17 66 130 55 1.3
平成 2年 77 23 41 10 40 83 17 19 71 126 52 1.4
   11年 72 23 42 10 44 93 20 20 65 119 57 1.5

2.日本の現実は生活習慣病(成人病)が大発生(18、20頁参照)
  高脂血症;1、000万人
  糖尿病  ;1、400万人
 寝たきり老人がアメリカの5倍、現在の平均寿命世界一は寝たきり老人のためとの説がある。
    平成12年 平均寿命  健康寿命  病床で暮らす年
       男性  77.6    71.9     5.7年
       女性  84.6    77.2     7.4

3.子供達に高脂血症、糖尿病が大発生(22頁)
 富士市の小学6年の250人の男女15%がコレステロール、男子11%、女子4%が血糖値異常、
  つまり生活習慣病の予備軍.このままでは30、40歳代で廃人の可能性。 これは全国的傾向と
  思われ、医療保健、年金はパンク、21世妃に日本は亡びる.

4.日本人に生活習慣病が多い理由
(1)脂肪の過剰摂取になりつつある;欧米人に比べて脂肪の害が生じ易い。
   (肉の消費量;アメリカ人118、日本人40kg/年)
(2)遺伝;欧米人に比べて糖尿病になり易い
(3)食物繊維不足;25g/日は必要であるが17g程しか摂取してないし、10g以下の人も多い
5.食物繊維の給源
    食物繊維の給源は米(玄米3.0%、白米0.5)、小麦く玄穀10.8、中力粉2.8)、
    イモ類(サツマイモ2.3、ジャガイモ1.3)、豆(大豆17.1、納豆6.7、豆腐0.4)、
    野菜(ゴボウ5.7、セロリ1.5、キュウリ1.1)、果物(渋抜きカキ2.8、キウイ2.5、甘カキ1.6、
        リンゴ1.5、ミカン1.0、ただし、 果汁は0)、きのこ(エノキ3.9、シイタケ3.5)、
        海藻(生ワカメ3.6、トコロテン0.6)

6.野菜は健康に重要と誰もが知っている、しかし消費量は減少

(1)ジャガイモを加えると日本人の野菜消費は多くない

   野菜消費の多い国ベスト10(一人当りs/年)
 
国名 野菜 ジャガイモ 国名 野菜 ジャガイモ
韓 国 180 7 187 ベルギー 107 103 210
イタリア 179 40 219 アメリカ 104 55 159
フランス 118 76 194 ソ連 100 107 207
日 本 112 28 140 スイス 93 49 142
カナダ 107 71 178 ドイツ 86 151 237

(2)生食(サラダ)の普及で減少
(3)農薬の恐怖で減少(24、48、52文参照)
    がんの原因は?と言う質問に対して

     主婦;食品添加物:44%  疫学者;食事    :35%
         農薬    :24        タバコ    :30
         タバコ   ;12        食品添加物 : 1
                          農薬     : 0

7・果物の消資を倍増する必要(242文参照)    世界の主要国の年間一人当り果実消費量
(1)嗜好品、贈答品;健康に必要とする考えが         1996−98  1984−86 1969−1970
 なく、日本人は欧米人の半分以下、北朝群    イタリア   126kg    126kg     108kg
 より少ない・欧米では古くは野菜が不足し、    ベルギー  125      92       81
 ビタミンC欠乏の壊血病が多く発生、果物     オランダ   123     105       99
 を食べないと生きておれないことが生活の     カナダ   122     124       84
 知恵                          ニュージー  117     108       77
 水が硬水で、水を飲む代わりに果物を食べた。 アメリカ    116     116       101 
(2)果物をたべると肥るは誤り(22頁参照)      ドイツ    115      119(西)   115(西)
(1)果物の糖は庶糖(砂糖)、果糖、ブドウ糖    スイス    112      132      168
 庶糖=果糖+ブドウ糖、胃の中でブドウ糖と   スペイン   102     125       92
  果糖に分解                      スエーデン   96      81       96
(2)果物を肥るほど食べるのは困難・         デンマ−ク   93      67       62
 例;ミカン(120g、可食部80.4g)の         オーストラリア 87     101       100
   カロリ−は35.4kcal                フランス    85      77       87
  リンゴ(300g、可食部255g)の          イギリス     83      67       57
   カロリーは127.5Kcal               韓国      64       46       12
  ポテトチップス中型袋(80g)の          北朝鮮     51       53       −
   カロリーは444Kcal                日本      50      58       52
    ミカン;12.5個分のカロリー          中国       37      15        5
    リンゴ;3.5個分のカロリー           ロシア      36      53       21
                              インド      34      28       18
                             注;FAOによる.アルコール飲料は除く
 ショートケーキ1個(100g)のカロリーは340Kcalで、これはミカン;9.6個分、リンゴ;2.7個分の
カロリーにあたる。

下の表は 果物、菓子のカロリーの比較表です。(100c当たりです)
品 目 カロリー(キロ) 廃棄率(%) 廃棄部分
アボガド 187 30 果皮、種
イチゴ 34 2 へた、果梗
ミカン(早生) 45 20 果皮
甘柿 80 9 果皮、種、へた
キウイフルーツ 53 15 果皮、両端
グレープフルーツ 38 30 果皮、じょうのう
スイカ 37 40 果皮、種
小玉スイカ 37 50 果皮、種
ナシ(和) 43 15 果皮、芯
ブドウ 59 15 果皮、種
リンゴ 54 15 果皮、芯
今川焼き 222 0
ようかん 296 0
カステラ 319 0
ショートケーキ 344 0
チョコレート(ミルク) 557 0
ビスケット 522 0
ポテトチップ 554 0

 8.野菜・果物の特徴と健康成分
(1)カロリー、脂肪が少ない;.肥らない
(2)ビタミンC(30頁参照)
   壊血病の予防;ヨーロッパでは古く大問題;
    果物が生活必需品になった理由。
   高血圧、老化の予防;毛細血管の健全性を保つ。
   がんの予防;発がん物質を分解、ニトロソア
    ミンの生成を防止するので各種がんを予防
 (3)ビタミンE(32頁参照)
   老化を抑制することが以前から知られていたが、がんも抑制.ナッツ、キウイ
 カロチノイド (34頁参照)
   ベーターカロチンの発がん抑制効果は早くから知られていたが、
   その他のカロチノイドも効果があり、とくに温州ミカンに含まれるベータクリプトキサンチンは
   5倍の効果がある。
(5)フラボノイド(38頁参照)
   セント・ジエルジが発見してビタミンPと名付けた物質は今ではフラボノイドと呼ばれているが、
   血管の老化を防ぐ効果は明らか。ミカン、オレンジのヘスペリジン、八朔、甘夏のナリンギン。
    フラボノイドはポリフエノールの一種.
(6)ポリフエノール(36、38頁参照)
   フランス人が他の欧米緒国と同じく肉を多食するのに、生活習慣病が少ないのは赤ワインを
   飲むためとの疫学調査に始まったポリフエノールの研究で、生活習慣病、
   がんを抑制することが明らかになった。ポリフエノールを最も多く含むのは果物、野菜で、
   最近のバナナプームも、渋のポリフエノール・カキ渋も古くから高血圧の民間薬。
   皮を剥いたり、切断すると褐変するのはポリフエノールが空気中の酸素で酸化されるからで、
   禍変し易いものほど含量が多い.
(7)食物繊維(40頁参照)
   第六の栄養素、欧米に比べ果物の消費が少いので日本人に最も不足している。
   食物繊維には不溶性と水溶性の二種あるが、果物はとくに水溶性(ベクチン)を多く含み、
   生活習慣病、がんを予防する。
    現在は脂肪の摂取が増えているので大腸がんの予防にも必要である。
   また、ダイオキシンなどの有害物質を吸着排泄、腸内の善玉薗の繁殖を助け、
   病原性大腸菌O-157などの発病を抑える。食事後にブドウ糖の吸収を緩やかにするので
   血糖値を上げない働きがある。
(8)カリウム、マグネシウム、その他のミネラルを含む
   カリウムは体内のナトリウムを排泄して減塩効果を生じ、がんや高血圧を予防する.
   骨にはカルシウム:リン:マグネシウムが2:2:1の割合、牛乳は100:90:10、
    バナナは6:27:32、牛乳だけでは骨そしょう症を防止できない。
(9)白血球の食細胞を増加させ、病気に対する抵抗性を高める(44頁参照).
(10)水;最も良質の飲料水(106頁参照).
  21世紀の青果販売業者の心得

 古くから食べていた日本食に加えてて昭和30年代の後半から脂肪の摂取が多くなり
 減塩運動と相俟って昭和45年頃に健康的日本食が成立した。
 平均寿命が世界一、歳をとっても老けないと世界の人々に称賛されるようになった。

 しかし、その後は欧米型グルメ時代、つまりアミノ酸型グルメから脂肪型グルメになって
 脂肪の摂取が過剰になりつつある。
 とくに子供達に脂肪摂取が多いが、その一つの原因は脂肪を多く含む菓子である。

 「おやつに果物」をお母さん達に呼びかけるべきである。

 このままでは30〜40歳代で生活習慣病による廃人が多数生じる可能性が高い。
 すでに寝たきり老人はアメリカの5倍となっている。
 平均寿命世界一は寝たきり老人が多いためとの説もある。
 そうなると 近い将来に健康保険・年金はパンク、日本は亡びると言っても過言ではない。

 これは、脂肪の摂取の増加に加えて、米を白米で食べ、大豆を豆腐で食べて、
 イモの消費が少ないうえ、果物を欧米人の半分以下しか食べないために
 食物繊維の摂取量が少ないのが最大原因である。

 とくに、欧米人に比べて少ない果物の消費を倍増することが必要である。
 厚生省もこれに注目して21世紀の健康つくり運動「健康日本21」の目標値に
 「毎日果物を食べる人の割合を29%から60%以上にする」を決定した。
 また 最近は果汁の消費が増えているが、果汁は100%果汁でも食物繊維を
 含まないので生の果物のほうが健康に良い。

 加えて、野菜・果物には血管の老化 がんの発生を防ぐ各種の成分が多い。
 このことは、毎日のようにテレビなどで紹介されているが、これを消費の拡大に
 結びつける努力が必要である。


  いづれにしても 野菜・果物が21世紀の日本を救う食物であることを
  まず青果販売業者が認識する必要がある!

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